日本の結婚式文化〜自宅着付けについて〜

皆さんはご自宅で花嫁になられたご夫婦の光景をご覧になった事はありますか?
又、「自宅着付け」というものをご存知ですか?

 

自宅着付けとは、結婚式当日に新郎・新婦が自宅にて花婿・花嫁の支度を行うことです。

私は小学校の頃は近所のお嫁さんを見にお嫁菓子をもらった記憶が何度かありましたし、近年は少なくなってきたものの地元愛知県三河エリアでは、まだまだ目にする機会がある伝統的な習わし。

時代が移り変わり、かなり簡略化されるようになったものの、ご近所で花嫁さんを見かける事ができると、何だかこちらまで幸せな気持ちになってきますよね。

 

現代の結婚式は自分たちらしさや価値観を重視し、伝統やルールに固執せずにそれぞれのスタイルで行われるようになってきましたが、LAPPLEとしても推奨している伝統的な自宅着付けについて皆様にも是非知って頂きたく、今回は一般的な流れをもとに綴らせて頂きます。

 

<ご紹介内容>

□お支度スタート〜ご家族へのお披露目・撮影

□ご仏壇参り〜ご家族への挨拶

□ご近所の方へお披露目〜ご新郎家へご出発

□新郎家の迎え入れ

□ご仏壇参りとご家族への挨拶

□ご近所の方へのご挨拶と出発

□時代に合わせて移りゆくご自宅着付け

 

 

|お支度のスタート〜ご家族へのお披露目・撮影

早ければ朝は5時頃から新婦は花嫁姿になるために、着付けが始まります。

着付けが始まる30分前には美容師が自宅に到着します。自宅では、家族の準備はすでに始まっているので、とても早いですね。

着付けていく様子を、家族は一緒に見ていたり、その後の準備にいそがしく動き回っていることが多いです。

家族も花嫁姿に合わせて正装します。お母様は留袖に、お父様はスーツやモーニングや袴に着替えます。

その後、いよいよ花嫁姿と家族のご対面です。

襖を開けて新婦と家族が対面したり、縁側を新婦が歩いてきてお披露目するなど、この一瞬を大切にしたシチュエーションでお披露目が行われます。

 

そして大切な家族との思い出を残していきます。

涙ぐんでいる親御様や、最初は照れくさそうにしている兄弟の様子をよく見ます。

新婦を囲んでの和やかな時間が流れます。

アルバムをみんなで見ながら昔話に浸ったりしてもいいですね。

 

|ご仏壇参り〜ご家族へのご挨拶

新婦を中心に、家族も一緒に並んでご先祖様にも結婚の報告をします。

最近ではお仏壇がないという自宅もありますが、今の私たちがいるのはご先祖様のおかげですという気持ちを大切にした時間です。

 

そして自宅着付けをする場合の一番の意味が、この時間にあるのではないかと思います。

今まで大切に愛情いっぱい注いで育ててきてもらった親御様に、娘から人生最大の感謝の言葉を伝えます。

新婦としては家族の元をはなれて、新たな家庭に入るという期待や不安があると思います。

親御様としては、何十年一緒に過ごしてきた娘を嫁がせるという嬉しくもあり寂しい気持ちがあります。

そんな娘にとっても、親にとっても、兄弟や一緒に住む家族にとって、この時間が「決意」の時間になることでしょう。

 

|ご近所の方へのお披露目〜新郎家へご出発

自宅着付けの魅力は、家族だけの時間ではなく、ご近所の方へのお披露目も行われます。

縁側で行うことが多く、お庭には幼い頃から知ってもらっている近所のおじさん、おばさんや、幼馴染の友人たちが集まってきています。

集まっていただいた方には、親御様からお礼の嫁菓子を配ります。

近所の繋がりが強い地域ほど、たくさんの方が新婦の姿を一目見ようと訪れます。

ご近所の方へのお披露目が終わると、家族を代表しての挨拶が親御様から行われます。

そして、新婦は専用の花嫁タクシーに乗って新郎家へと向かいます。

新郎家まで歩いて行ける場合には花嫁行列といって、新婦と家族が新郎家の自宅まで列になって向かうこともありました。

途中で近所の方もお祝いしてくれたり、たくさんの祝福を受けることになります。

 

|新郎家の迎え入れ

新婦家での流れと同様に、新郎家でも朝から新婦を迎え入れるために、新郎と家族の着付けが行われます。

新婦が到着する頃には、全員迎え入れる正装に整い、今か今かと新婦の到着を待っているのです。

新郎の親御様も、新しく娘となる新婦を迎え入れる喜びを感じることでしょう。

そして、白無垢で到着した新婦は新郎家では色打掛を羽織ります。

これは、真っ白な気持ちから新郎家の色に染まりますという意味があり、一生を新郎と共に歩んでいくという新婦の気持ちを表したものです。

 

|ご仏壇参りとご家族への挨拶

先程の新婦家同様に、新郎家でもご先祖様へ結婚のご報告をします。

その後、新郎新婦と親御様、家族が向かい合って座り、結婚の報告とこれからの人生の決意を込めた挨拶を交わします。

新婦家だけではなく、息子が結婚して新しく家庭を築いていくということに関しては、新郎の親御様も新婦の親御様同様、嬉しいことでもあり寂しくも感じることでしょう。

そんな、息子・娘からはこれからの人生を必ず幸せになるという決意と、親御様や家族にとっては離れていてもずっとふたりの幸せを願っている応援しているという想いを伝え合います。

 

|ご近所の方へのお披露目と出発

もちろん、新婦家同様に新郎家でもご近所の方へのお披露目を行います。

お披露目後には、新郎の親御様によりお礼の挨拶もあります。

その後、結婚式を行う神社や結婚式場へ向けて新郎家を出発します。

現在60歳以上の夫婦では、この自宅着付けを経験された方も多いのではないでしょうか。

現代と比べると、各家庭は一軒家を持ち、近所付き合いも強く、自宅着付けに適した環境があったのだと思います。

そんな中、現代でもそれぞれの新郎新婦に合わせて自宅着付けは伝統として残っています。

 

|時代に合わせて移りゆくご自宅着付け

お互いの自宅が離れている場合であれば、新婦は自宅着付けをして、新郎は結婚式場で迎え入れることもあります。畳の部屋がない場合でも、自宅の間取りに合わせて行うことも可能です。

以前は結婚式は新郎家を尊重して、結婚式場も新郎家の近くというのが一般的でしたが、最近ではゲストのことを考えて、中間地点を選んだり、新婦家の近くで挙げるというケースも増えています。

中には、新婦家に新郎も出向いて、朝から一緒に支度に入り、家族への挨拶やご近所へのお披露目を行う方もいます。

 

昔の結婚式とは違うね、最近は変わったね、という言葉をゲストから聞くことがありますが、それでも日本の結婚式スタイルが確立され始めてからはまだ60年ほど。

日本で初めて行われた東京オリンピックに合わせて、ホテルが多く建設されホテルウェディングが流行り、互助会制度を取り入れた専門式場がブームとなり、レストランウェディング、ゲストハウスが新たなブームを起こし今に至ります。近年では、会場を持たずに結婚式をプロデュースする会社やフリープランナーという存在も注目を浴びています。

 

様々な場所で、それぞれの想いに応えるべく結婚式は多様化の時代に突入しました。

確かに、昔の結婚式とは違うかもしれません。

しかし、それは60年前も同じであり、その時代背景に合わせて、結婚式のあり方も変わり続けているのです。

 

そんな流れの速い結婚式において、私たち作り手側が大切にしないといけないことは、昔も今も変わっていません。

 

「親が子を想う気持ち」

「子から親への感謝の気持ち」

「この人と結婚したいという気持ち」

「ゲストがおふたりを想う気持ち」

 

この気持ちが集まるのが結婚式だと思います。

 

結婚式が多様化している現代だからこそ、私たちがきちんと新郎新婦や親御様に結婚式の意味と価値を伝えていく必要がまだまだあると感じていますし、流行りやたくさんの情報に流されずに、これからも結婚式が守り続けなければいけない意味を大切にしていきたいです。

 

親子の心を通わせる自宅着付けが、日本の結婚式文化の伝統として続きますように。