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生まれ育った街でご自宅着付けをして花嫁になり家族みんなの心に残る思い出を創りましょう

出立ちとは、生まれ育った場所にて嫁ぐ事の感謝を伝える特別な時間である

 

愛知県三河エリアではまだまだ残っている、ご自宅で花嫁になる出立ちの風習。本当に自然体な花嫁でいられるのは、一番長く過ごした場所と人に囲まれている時間かもしれないなと、この現場に立つ度に感じられます。

 

先日も温かく、心が熱くなる素敵なご自宅着付けに立ち合わせて頂きました。

その様子をご紹介させて頂きます。

 

|ご自宅着付けをされた経緯

ご相談を受けたのは、結婚式の2ヶ月前。

新婦とお母様のご意向からのご相談でした。理由は、

「小さい頃に近所でも花嫁さんがいたら見に行った記憶がある」

「今は少なくなってきたからこそ、昔見てきたように自宅で花嫁になりたい」

そんな強い想いから、ご自宅着付けの準備がスタートしていきました。

|ご準備されたもの

実際に下見に伺わせて頂いた際に、

・どこでお着付けをするのか

・スペースはどのくらい確保できるのか

・導線はどうするのか

・お参りはするのか

・ご挨拶は入れるのか

・どこでご近所の皆さんにお披露目するか など…

ヒアリングをさせて頂いてから、フォトグラファーやヘアメイクさんとミーティングを行い最終的に詳細を決定していきます。

 

今回はお母様とご自宅でお打ち合わせをさせて頂いた際に、娘さんとご一緒の時にはまだ聞けなかった胸の内に秘めた想いを色々と教えてくださり、

「ここで花嫁になる事で家族みんなに語り継がれるような時間にしたい」

そんな気持ちとなり、まず時期的に浮かんだ事がお雛様と一緒に写真を残したいと思ったのが一つでした。

お雛様を出して、保管しての作業って本当に大変ですよね。でも毎年欠かさず、娘さんの為に飾り続けてきたお母様。

お雛様の意味とは「幸せな結婚」を願ったり、お雛様の飾り付けそのものには「結婚式への想い」を意味していると言いますよね。無事にその日がやってきました、願いが叶いました、未来を見続けて迎えたその日をさり気なく伝統と共に時間を過ごしてほしいと感じ、当日までにお母様に素敵に飾り付けをお願いしました。

 

|当日のタイムスケジュール

当日はお昼時に結婚式を予定している関係で、早朝からお支度がスタートしていきました。

この日は9時半にご自宅出発のスケジュールだった為、6時半には着付け師さんがお支度に入られ、朝からバタバタとスタート。

実はこの日、大切なお爺様にもお披露目したいと結婚式の前に病院に行くスケジュールとなっていた為、お披露目とご挨拶の時間を約30分間に設定をし、

・紅刺しの儀

・家族写真

・近所へのご挨拶

・ご両親へご挨拶

・神棚へのお参り

上記の内容を行っていきました。

 

|当日の様子

そんな当日の実際の様子です。

新郎が迎えに来るのがもともと本来の在り方ではありますが、移動時間や全体の流れを見て、今回は新婦のご自宅で一緒にお着替えをするというパターンをご選択されました。

新婦さんのお支度時間も約二時間かかってきます。この二時間の花嫁支度は、「心の準備」も整えて頂く為にもじっくりと時間をとらせて頂いています。

 

お母様には、幼い頃のアルバムも用意していただきました。お支度がだんだん素敵に整っていく娘さんの様子を近くで見ながら、懐かしい思い出を振り返る事で、言葉にはあまり多く出されていませんでしたが、きっとお母様にとっても感慨深い気持ちでいっぱいだと思います。

 

お支度が整ったら紅刺しの儀で、花嫁姿の総仕上げを行いました。

この日、唯一ゆっくりとした時間が流れた瞬間。

「お母さんは自分にとってスーパーマンのような存在」

とおっしゃっていた新婦さんのプロフィールに綴られたコメントが印象的でした。

だからこそ、親子のハレの日を物語る「時間」と「写真」を素敵に残してあげたい、そんな気持ちを込めてこの時間を大切にセッティングさせて頂きました。

 

お支度の感性を待ち望んでいたのは、ご両親だけではなくお祖母様やお爺様も。

最初、ずっと遠くから眺めているので、「是非近くで見てください!」と何度もお声をかけてようやく近づいて下さったお祖母様達は終始笑顔で、本当に心から嬉しそうです。

 

お父様もホームだからこそ、遠慮なく写真をたくさん撮影され始めます。

 

プロカメラマンがいるからこそ誰かが欠ける事なく、久しぶりの家族皆で残す写真。

 

 

そんな風に家族だけの時間を過ごすのもつかの間、ご近所の方がどんどん集まりだしました。

 

幼い頃は駆けつける側だったのに、今日は皆が駆けつけてくれてお祝いしてくれる。

 

特別な何かではなく、純粋に祝われる幸せを感じられるのがこの出立ちの魅力だと毎回感じています。

だってお祝いの気持ちがなければ、朝からわざわざ駆けつけないですよね。

お父様、お母様は嬉しい気持ちを噛み締めながらも、お菓子をお礼にお配りしている様子です。(写真左上)

 

ご出発の前に、新郎からご挨拶を。お母様には泣けちゃうからいらないとおっしゃっていますが、新郎さんから結婚式の1日のどこかではご挨拶をされた方がいいですよとアドバイスをしたら、このタイミングをケジメとして選んでくださりました。

凛々しく「幸せにします」の言葉を届けるカッコイイ姿。

結婚式でもお手紙をご用意して下さっていたので、お母様からはあえて言葉をもらうのはやめました。涙をこらえるのに必死なこの表情を見ていたら、余分な言葉を交わす必要はないなと思い、お父様から一言「娘を頼むよ」とお伝え頂きました。

 

|新婦が大切に習慣付けていたこと

最後に、ご自宅を出発する前に神棚にご挨拶を。

これもお母様にご自宅でヒアリングをしていた際に分かった事。

「感心している事は、幼い頃から今も尚、家を出る前に必ず一人で神棚に手を合わせる事を欠かさなかった。バタバタと学校に行く前とかも、私が何も言わずに続けてきたから、本当に凄いと思っているんだよね」

ご仏壇があるわけではないから、お参りとかも入れなくていいと言われていた当初でしたが、こんなエピソードを聞いたらカメラマンと共有しないわけにはいきません。ご出発前に皆さんで「この日を迎えた感謝」をお参りしてから、ご自宅での時間を結びとさせて頂きました。

|ご自宅着付けをする価値とは

マンションだったり、引越しをされたり、都会に住む方達はこのような景色はもう見なくなってきているご自宅着付け。

あと提案した時に「見栄え」を気にされて、諦めた方もいらっしゃると聞いた事があります。

昔ながらの固定概念でいきますと、和装姿が合うご自宅だったら今でもできると考える方もいるかもしれませんが、本当に大切なのは「自宅の見栄え」ではなく、「誰に囲まれながら花嫁になるのか」その流れる時間に価値があるのではないかと私は感じています。

実際に東京のマンションで、ご自宅で花嫁になられた方もいらっしゃいましたが、お爺様やお祖母様が本当に嬉しそうでした。

 

自宅着付けをするからって、自宅へのお披露目を絶対にしなくてはいけないわけでもないと思いますし、今回みたいにご仏壇が家になくても大丈夫ですし、掃除も大変!と考える方ももちろんたくさんみえますが、今の時代だからこそ固定概念にとらわれず「花嫁としての過ごし方」を大切に考えてみるのはいかがでしょうか。

結婚式当日は大掛かりだと感じられるけど、気になる方は前撮りプランとして取り入れるのもオススメです。

結婚式とは違った特別な時間と思い出創りだと思って、こんなスタイルのウェディングも宜しければイメージしてみてくださいね。

 

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