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DJ AViAさんにインタビュー「結婚式は新郎新婦のワンマンライブ」

プロのアーティストして第一線で活躍しながら、DJとして多くの結婚式に携わってきたAViAさん。

「結婚式にDJ?」とあまりイメージが湧かない方もいるかと思いますが、実はDJだからこそ結婚式の空間演出が生きることが多いんです。

今回はWedding DJであり、アーティストであるAViA(アビア)さんにインタビューさせていただきました。

DJは結婚式のパフォーマンスのひとつ

LAPPLE「結婚式に列席された方でも、DJの存在を知らない方も多いのかなと思います。改めて、結婚式でのDJとはどんな役割を担っているとお考えですか?」

AViA「音を出すという意味では、“音響さん”と同じポジションになりますね。ただ、DJは音響とは違い、裏方ではなく、プレイヤーのひとりとして目に入るところに出ています。
僕は、DJは生演奏だと思っていて。とはいっても、既存曲を流すので、実際に楽器を使って生演奏する方とは、イメージは違うと思いますが、ライブであることには変わりがなくて、“演奏している”という感覚が近いですかね。」

LAPPLE「なるほど。結婚式でDJをしようと思われたきっかけはなにかあるんですか?」

AViA「学生時代に、結婚式場で披露宴の音響のバイトをしていたんですけど、同時期にクラブでDJしたりもしていて。当たり前ですけど、音楽を再生するというのは同じなのに、披露宴での音響とクラブのDJは全く違いました。
その頃、年代的に周りが結婚ラッシュになって、2次会とかでDJを頼まれるようになりました。結婚式の披露宴って、挙式の延長なので少し堅い雰囲気ですけど、2次会の雰囲気にはDJが合っていたんです。
自分がアルバイトで音響をするときにはかけられないテイストの曲も流せるので、音楽でパーティー感が出せたというか。(もちろん雰囲気を壊さない程度にですけど。)今日のDJめっちゃよかった〜って言われることも多くて。音響のバイトでは、基本的には決められた曲を決められたタイミングで流すので、こんなこと絶対言われないんですよね(笑)
そうやっているうちに、結婚式の披露宴にDJとして入るのもいいんじゃないかなと思うようになったんです。」

LAPPLE「確かに、DJが入るとパーティ感が強くなりますよね。その雰囲気がいいなと思った理由はどんなところですか?」

AViA「そうですね、音楽もその場の要素のひとつになれた感じがしたんです。結婚式場で音響をするときって進行表と司会者とマイクの場所(音量調節のため)くらいしか見ていなかったんですけど、DJは基本的にお客さんの方を見ているので。DJなら、結婚式でパフォーマンスの一つになるなって思ったんです。」

LAPPLE「音響の基礎はアルバイトの時に学ばれたんですか?」

AViA「はい、音響をやっていた時の経験がベースですね。結婚式の基本や、ある程度の流れは身につけられたので。全体の流れや雰囲気は壊さないようにしつつ、ここはDJだからこそ違う雰囲気にできるな、とかライブ感出して盛り上げられるな、とかオリジナルの感じを出せるように模索していますね。
でも、音響って間違えないことが一番の成功って考えられがちなんですよ。ミスなく終わる70点くらいを目指す人も多いと思います。自分はそこにモチベーションを持てなくて、何もないことが成功なのかな?と、違和感があって。『何もなくて良かった』ではなく、『あれがあって良かった』って終わりたくて。
僕は100点を目指すのではなくて、150点200点を目指しています。」

音楽で空気をつくっていく

LAPPLE「結婚式場での音響のご経験があるとのことですが、AViAさんが考える、音響とDJの違いを詳しくお聞きしたいです。」

AViA「そうですね、ライブ感が違いのひとつですかね。

クラブでDJをしていた頃の話ですが、僕がプレイしていたクラブは、DJの間にラップやダンスのパフォーマンスが入るような所でした。その時って、誰かがCDの再生ボタンをONして始まるんですよ。その時に、今まではプレイされていた音楽から、ただ再生した音楽に変わって、全体の雰囲気が止まるんです。
特にダンスのときは顕著で、さっきまでイベント全体で何か起こるかわからないワクワクする雰囲気だったのに、ピタッと止まったような感覚になって。その頃は、この理由が分からなくて、ただ漠然と『この感じ好きじゃないな』と思っていたんですけど。

今考えると、DJやラップのLiveは場の状況を見て選曲したり、お客さんの人数や雰囲気で盛り上げ方が変わる・変えるのに対して、ダンスは決められた曲で決められた振り付けを踊るのをただ見ているという状態だったのかなと。目の前で躍動するダンサーも曲をかけた人も見ている人も生きているのに、音楽だけ生きていない感じ。
これは、ライブ感・生々しいかどうか=必然性があるかどうか、の違いだったのかもと思います。
僕にとっては、音響とDJの違いも同じ感じですね。」

LAPPLE「ライブ感や生々しいという言葉が出てきていますが、AViAさんがDJをされる時には、その雰囲気をどう出されているんですか?」

AViA「その場の空気を感じて、音楽で空気を作っていく感じですかね。なので、事前に用意していた曲から変えることもあるし、曲と曲の繋げ方は基本的にその場で考えています。

会場とのマッチ感も意識しています。LAPPLEさんは特にですけど、初めて入る会場が多く、屋外だったりもするので、まずはいろんな曲を流して、雰囲気に合うかどうかを最初に確認しています。事前に準備もしますが、当日現地に行くまでは、雰囲気ってわからなくて、事前に自分のスタジオで準備した時に聞いた時と、実際に現地でいた時には、全然違うように聞こえたりもするので。」

LAPPLE「では反対に、事前に準備されていることはありますか?」

AViA「基本ですが、曲を雰囲気ごとに分けておくことはしています。曲順までは決めていないですね。」

LAPPLE「どんな感じで分けているんですか?」

AViA「例えばですけど、アップテンポ、ゆったり、ボーカルが男性女性か、歌かラップか、メジャーかどうか、みたいな感じで色々なリストに分けています。その場の雰囲気に合わせてそのグループから曲を使っていくイメージですかね。なので、流れを変えたい時は、まとまりを変えて、という動きになります。」

LAPPLE「曲を流して、違ったなと思うこともありますか?」

AViA「はい。違ったかなと思って、次の曲で挽回する、という繰り返しをしています。曲をかけて、お客さんの反応を常に見ていますね。ただ、雰囲気にぴったりの曲がずっと流れていると人って飽きしまうんですよ。馴染みすぎて、話が弾まず静かになってしまったりもします。切り替えも大事ですが、ぬるっと変えると微妙な感じになるときもあるし、急に変えすぎて滑る時もあるし。

曲がハマった時には、立ち上がって音の出所を探す人とかもいらっしゃって。目があって、アイコンタクトで『いいですね〜』みたいになるときは嬉しいですね(笑)」

LAPPLE「その場面見かけたことあります、気持ちいいですよねきっと!
あと、結婚式のDJだからこそ、意識されていることはあるんですか?」

AViA「全体を見ることですかね。盛り上げたいなってときに、全員がその雰囲気だとガンガンいきますけど、結婚式は色んな層の方がいるので、一部だけ盛り上がりすぎたりしないように意識しています。なので、盛り上がらせたいシーンまで、布石を置いていくこともしています。
『この曲いいな〜』→『この曲知ってるかも?』→『口ずさめる曲かも?』→『この曲好き〜!(メジャーな曲)』ってなるように段階を踏んで曲選びをしたりもします。

あとは、結婚式は、会話したいフェーズと音楽を聴きたいフェーズがあると思っていて。ずっと盛り上げるだけではなく、会話を楽しんでもらうきっかけもつくるようにしています。」

LAPPLE「盛り上げたり、落ち着くシーンがあったり、アーティストのライブみたいですね。」

AViA「そうですね。全体を通して満足してもらうことが大切なので。」

結婚式はワンマンライブ

LAPPLE「AViAさんにとっては結婚式もライブですね・・・!
現在アーティスト活動もされていらっしゃいますが、それと比べて、結婚式のやりがいはどのようなところなのでしょうか?」

AViA「実は、結婚式ってワンマンライブと似ていて。もちろん主役はふたりですけど。ワンマンライブのお客さんって他のアーティストもいるフェスとかと違って、基本自分達のファンの方なんです。ファンの方に来てくれてありがとうの気持ちがあって、ファンの方は長い間ライブやってくれてありがとうの気持ちがあるので、相互に感謝の気持ち。結婚式の披露宴も、新郎新婦のおふたりを見にきていて、お互い感謝の想いを伝える場でもあるので、僕にとっては同じ感じなんですよ。
ただ、自分たちのワンマンライブではないので、例えるなら、サポートバンドのドラマーみたいな感じですかね。主役ではないけど、メンバーのひとりであって、そのドラマーがいい味だしていたよねって気付いてくれる人もいる、ってくらい。」

LAPPLE「アーティストでもあるAViAさんがサポートバンドとは贅沢ですね!(笑)」

AViA「結婚式って、プランナーさんはもちろん、花屋さん、ヘアメイク、シェフ、とプロフェッショナルが集まってできているじゃないですか。でも、音響って僕が昔やっていたみたいに、プロが務めるべきところをただの学生アルバイトがやっていたりするんですよ。それが違和感のひとつでもあったかもなと今回のインタビューで思いました。
僕が結婚式のお仕事をさせていただく時には、音響のプロではなくて、音楽のプロとしての意識で入っています。」

LAPPLE「音楽のプロとは?」

AViA「歌心がある人ですかね。これは歌が上手いとかではなくて、今、この感情を最適な音楽で、最善な音量で、表せられる人です。
披露宴という一曲を歌い上げられるのがプロです。」

音楽の力でイメージを具現化

LAPPLE「音楽のプロとして、結婚式にDJを入れるのにおすすめの方はいらっしゃいますか?」

AViA「日常的に音楽を聴く人にはDJはおすすめですね。
結婚式の1日はこんな感じにしたいってプレイリストを考えられる人には特に。イメージしているものがある分、失敗できないというプレッシャーもあるし、準備は大変ですが(笑)
あと、曲は選べないけど、雰囲気が明確にイメージできている人にもおすすめですね。
一緒に考えたり、イメージを音楽の力で具現化して実現してあげられると思います。

LAPPLE「ここまでのインタビューで、AViAさんのお考えをお聞きしてきましたが、最後に、AViAさんからみるLAPPLEについてもお聞きしたいです。」

AViA「最初にお話した僕が目指していることに共通するんですけど、LAPPLEさんは100点ではなく、それ以上を目指しているチームだと思います。ミスなく結婚式を進めるのではなく、もっと良くするために、これでいいのかな?という疑問を常に持っているなと感じています。
あとは、初めての場所や初めて見る進行表ばかりなので、いつも読み込むようにしていますね。LAPPLEさんって門出のシーンを特に大切にされていると思うんですけど、僕も、『最後にこんな景色が見られるように、それまでに自分に何ができるか』という逆算の考えでやっているので、この考えにはとても共感し、リスペクトしています。」

LAPPLE「改めて、同じ方向を向けていることを感じ、とっても嬉しいです。これからも一緒に200点を目指しましょう!今回はありがとうございました!」

Profile
DJ AViA(アビア)

大学生時代に音楽に関わる仕事をしたいと、ブライダル音響を経験。そこから数え、これまでに2000本を超える結婚式の音楽を担当。友人の結婚式の1.5〜2次会でDJを始めた頃に、LAPPLEと出会い、プロデュースチームの一員として結婚式に入り、「Wedding DJ :AViA」に。

DJ、トラックメーカー、サウンドプロデューサー。STUDIO AViNCi代表。名古屋発HIPHOPユニット「カルテット.」所属。2006年メジャーデビューし、SEAMO、西野カナ、AZU、など数々のアーティストとコラボを実現。現在は様々なアーティスト、メディア、企業CM、ゲーム音楽、プロスポーツチーム等への楽曲提供やDJ MIX制作およびサウンドエンジニアリングを行うサウンドプロデューサーとしても活動中。代表曲に中京TV「ゴリ夢中」(「情熱白書」/カルテット.)など。(※「ゴリ夢中」は2024年9月で終了)

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