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MAPS箕輪田綾さんにインタビュー「音楽は空間づくりの総仕上げ」
PAさんって裏方の仕事だけど、
結婚式を作る上ではすごく大切な存在で。
わたしたちは空間作り、音作りに特にこだわっているからこそ、特に重要な要素を担ってくれています。
今日は私たちが熱い信頼をおくPAである箕輪田綾(みのわだあや)さんにインタビューさせていただきました。
「まずはおふたりを知ることから」
LAPPLE:「改めてにはなりますが、PAとはどんな役割を担っているんですか?」
綾さん:「簡単にいうと “その場に合った音楽を流す人”と言っています。そのほかにも、マイクの音量を常にチェックしたり、照明を調節したりもします。」
LAPPLE:「打ち合わせの中で、おふたりにこれは必ず聞くというものはあるんですか?」
綾さん:「そうですね、ふたりの結婚式のコンセプトは聞くようにしています。ただ、聞いてみた時に決まっていない方もいらっしゃるので、そういう場合は、こちらからキーワードを出して、近いものを一緒に探しますね。」
「結婚式で使いたい曲というよりは、普段聴く曲からまずは聞くようにしています。挙げてもらった中で、このシーンだったらこの曲が合いそうですよ、という風にご提案することが多いです。お話の中で、このシーンで使いたい曲ありますか?と言われても、すぐにそのシーンをイメージするのは難しいと思っているので。想像しやすいようにすることを意識していますね。もし、この曲は使いたいっていうのがある方は、曲が一番引き立つ場面を提案するようにします。」
LAPPLE:「打ち合わせ前にしていることもありますか?」
綾さん:「おふたりのプロフィールは必ず一通り目を通します。出会いや年齢、ご家族についてなどから、結婚に至るストーリーまで。これが音響に直接関係しているというよりかは、打ち合わせの時に仲良くなるためにしているって感じですかね。私がするべきなのは、おふたりを知ることからだと思うので。」
「全員の感情を見逃さない」
LAPPLE:「PAをする中で特に気にしていることはありますか?」
綾さん:「『一体感』ですかね。ふたりの表情、ゲストの雰囲気、司会者のことば、すべてに目と耳を向けて、その場にいる全員の感情を見逃さないようにしています。スタッフの温度感を感じ取るために、コミュニケーションも取るようにしていますね。音のタイミング、ボリューム、同じ音でも、これが変わることで全然違うものに聞こえてくるので。音量はリハーサルの段階では決めないようにしています。
あとは、司会者さんとの阿吽の呼吸もとても大切にしています。言葉として、このシーンの切り替えの時になんて言いますかと打ち合わせはしないですね。決めてしまうと、そうでない言葉を使いたくなったり、言い回しを変えたい時に、それができなくなってしまうので。その時の場面に応じて、言葉を言い切って間髪いれずに音を入れたいときと、あえて一拍置きたいときがあって。これはうまく言葉にできないんですけど、感覚です(笑)」
LAPPLE:「そんな綾さんが考える、結婚式の大事なシーンはどこですか?」
綾さん:「そうですね、当たり前かもしれませんが、入場や中座、家族との時間などのメインシーンはとても大事だと思います。ゲストの感情が動くので。
でも、結婚式の1日をつくるのに、歓談の時間もすごく大切なんですよ。おふたりには、「ゲストにどうやって過ごしてもらいたいか」を聞くことで、おふたりの好きな曲よりも、ゲスト中心で考えてもらうようにしています。お食事をゆっくり楽しんでもらいたいならジャズ、ゲスト同士の交流を楽しんでもらいたい時はポップな曲みたいに、おふたりの意向によって、こちらがコーディネートしていきます。
当日に、事前に用意していた曲から変えることも多くあります。特に大切にしているのは、結びに向かっていく時。歓談中に爽やかな曲が流れていて、だんだんとしっとり系にして心の準備をしてもらう時もあれば、ガラッと雰囲気を変えるときもあります。その場のゲストの雰囲気を感じ取って。
実際の結婚式の話なんですけど、親族のみでのパーティの時、雰囲気を壊さないようにしっとり系でとリクエストをもらっていて。でも始まってみると、会話も弾んでいるし、結構ワイワイした雰囲気になっていて、ゲストと曲のテンションにギャップを感じたので、その場で変更させていただきました。
LAPPLE:「それはどうやって見極めていくんですか?」
綾さん:「楽しみたい、ゆっくり過ごしたいなど、ゲストのタイプみたいなものを、よくみるようにしていて。あとはお酒が入ってから、どんな雰囲気になるかを気にしています。
重要シーンの前に確認するのは、親族の仕草ですかね。それによって、細かい音のボリュームを工夫していきます。」
「PAはみんなに勧めたい」
LAPPLE:「PAを入れることをおすすめしたいお客様はいらっしゃいますか?」
綾さん:「そうですね。たまに、『なんの曲かけても同じでしょ。』とおっしゃる方もいらっしゃって、そんなことないんだけどな〜って思ったりもしますけど、話をする中で考えが変わったりもするので、結論誰でもウェルカムですね(笑)
打ち合わせの中では、具体的に曲を挙げてお話しするようにしています。このシーンで、この曲か、この曲だと、全然違わない?って、特に結びのシーンの時は私はすごく大切にしているんだけど、どう思われますか?ってしっかり伝えるようにしていますね。」
「音楽は空間作りの総仕上げ」
LAPPLE:「結婚式以外の現場に音響として入ることもあるかと思います。結婚式だから、意識していることみたいなのはあるんですか?」
綾さん:「企業パーティの音響をさせていただくこともあるんですが、祝う人や内容が違うだけで、結婚式もそれ以外のパーティも、私は同じだと感じています。表彰された人の上司がおんなじように喜んでいたり、昇格した方の後輩が喜んでいたり。人と人が同じ時間を共有するという意味では変わらないかなと思っているので、結婚式だからというよりは、そこにいる人たちが今、どう感じているか、という目線で常に場づくりをしています。
LAPPLE:「確かに、それぞれにとって大事な時間なので、差はないのかもしれませんね。場づくりの中で、音楽の役割はなんだと思いますか?」
綾さん:「『音楽は空間づくりの総仕上げ』ですかね。それができるのがPAだと思っています。例えば、会場のお花やヘアメイクはふたりらしさがわかりやすく目に入ると思います。でも、音楽だけずっと定番だなと思ったりもしていて。せっかくふたりがこだわって作った空間なのに、それと音楽がチグハグだったらもったいないですよね。
おふたりが、想いを伝えたい人にちゃんと伝わるように。音楽は、ふたりの伝えたいことや作りたい雰囲気作りを後押ししてあげること、仕上げしてあげることもできます。言葉では足りない部分、伝えきれない部分を音楽の力で足してあげられるんです。」
Profile
MAPS 箕輪田綾
「音楽に関わる仕事がしたい」とブライダル音響演出の事務所で何百組もの結婚式の経験を積み、結婚式と音楽のちからをさらに追求するため、独立。 新郎新婦それぞれが持つ雰囲気や、伝えたい想いをどう表現するかを打ち合わせでは大切に。 限られた時間の一瞬一瞬をどう彩っていくか、空間を左右する力が音楽にはあると信じている。